このたび、私の作品
「花畑を出す魔法~あるエルフの記憶~」 が、
パリアート博にて
「日本芸術名誉大賞〈ジュエリーアート部門〉」 を受賞しました。
作品が海を越え、パリという芸術の街で評価していただけたこと。
本当に身に余る光栄です。
実際に見に行けなかったのが少し残念でしたが…

私のマニキュアフラワー作品が大賞受賞
この作品は、アニメ『葬送のフリーレン』の中に出てくる、
“花畑を出す魔法”のシーンからインスピレーションを受けて
制作しました。

それまでは、まだ作品のアイディアが固まらず、
どんな作品にしようか悩んでいる最中でした。
「葬送のフリーレン」に登場する「花畑を出す魔法」とは、
師匠フランメからフリーレンが教わった、
一面に花を咲かせる非戦闘用の魔法です。
実物を見たことがある花しか再現できない魔法で、
ヒンメルとの思い出の地(蒼月草)などで、
追悼や平和を象徴する重要なシーンで使用されます。
アニメの中でそのシーンを目にした瞬間、
「これを、私のマニキュアフラワーで表現したい」
それまでの迷いが嘘のように消え、
静かで熱い炎が私の中に灯り、作品づくりが始まりました。

マニキュアフラワーで咲かせた、私だけの花畑
今回の作品では、マニキュアフラワーの透明感や繊細さを生かしながら、
ビーズアクセサリーで培ってきた技術も詰め込みました。
メイン部分には「白いマーガレット」。
勇者ヒンメルの、フリーレンに対する秘めた思いを象徴する花にしました。
花言葉は「心に秘めた愛」「私を忘れないで」「優しい思い出」
ヒンメルのフリーレンへの決して言葉にしなかった
強い愛情と別れを表現する重要なモチーフだからです。
次に作ったのは、
師匠フランメの死後、遺言通り師匠の墓のまわりに
フリーレンが魔法で咲かせた花、おそらく「オオアマナ」。
そして次に作ったのが、「蒼月草」。
勇者ヒンメルの故郷に咲く、空色の美しい花です。
ヒンメルがフリーレンに見せたがっていた幻の花で、
彼らにとって大切な思い出の象徴だからです。
首元に沿うように広がる花畑は、
ただ“飾る”ためのアクセサリーではなく、
ひとつの小さな物語として完成させたいと思いました。
絵画や書など壮大な作品が並ぶ作品展の中で、
アクセサリーという小型作品がどんなふうに存在できるのか。
会場で見た方が、ふと足を止めて、
「うわぁ……美しいなぁ」
そんなふうに感じてくださったら嬉しい。
そんな願いを込めて、
一輪一輪、作った作品です。

10年前の私は、想像もしていなかった
思えば、私がマニキュアフラワーに出会ったのは、
ネットで偶然見かけた一本の動画がきっかけでした。
ワイヤーで形を作り、
そこにマニキュアの膜を張って花びらにする。
ビーズアクセサリーしか知らなかった私にとって、
その斬新すぎる技法は衝撃でしたし、
その美しさに、心を奪われました。
でも、そこからの道のりは、
決して平坦ではなく…
教えてくれる教室もなければ、
本(ほんの数冊あったけれどかなり不親切…)もほとんどない。
やりたければ
一人で頑張るしかない10年間でした。

誰にも注目されず、
「マニキュアフラワー??何それ?」
「あれ?ビーズアクセサリーはもうやらないの?」
という言葉を浴びながら、
ひとり黙々と試行錯誤を続ける日々。
楽しくて制作に対する情熱は枯れませんでしたが、
いろいろ迷走したのは事実です。
私はビーズアクセサリー作家だったのに
今何を作っている?
何を目指している?
迷走しながら孤独に自問自答してきた10年間でした。
でも、
花びらが光を受けて透ける瞬間
小さな花がひとつ完成した時の嬉しさ
それをアクセサリーに仕立てた時の胸の高鳴り
その一つ一つが、
私をここまで連れてきてくれたという感じです。
10年前の私は、
まさか自分が作ったマニキュアフラワーの作品で、
このような賞をいただける日が来るなんて、
全く夢にも思っていませんでした。
今世では、私は孤独にマニキュアフラワーを作って
自己満足するしかない運命なんだろうなぁ…
来世こそは私のマニキュアフラワー作品を
誰か好きになってくれたら嬉しいなぁ…
と、ずっと思っていたくらいでしたから。
続けた時間は、必ず自信に変わる
今回の受賞を通して、改めて感じたこと。
それは、
たまに心が折れても、やっぱり好きで
細く長く続けてきたことは、
成功も失敗も着実に自分の中に積み重なっていく。
量はやがて質になり、
本物の輝きを放つようになる。
そしてある日、
「ああ、あの時間は無駄じゃなかったんだ」
と思える瞬間がやってくるのだと思います。

今回の賞は、
作品そのものを評価していただいた喜びはもちろんですが、
これまでの自分の歩みを、静かに肯定してもらえたような
そんな気持ちにもなりました。
私にとってマニキュアフラワーは、
もう単なる技法ではありません。
私の後半人生においてなくてはならない、
大切な存在になりました。
これからも、美しい花を咲かせ続けたい

今回の受賞は、私ひとりの喜びではありません。
いつも見守ってくださるフォロワーの皆さま。
私を信じてついて来てくださる生徒さんたち。
応援してくださるすべての方のおかげで、
今の私があると思っています。
本当にありがたいことです。
これからも、
作品を通して、レッスンを通して、
誰かの心にふわっと花が咲くような時間を
お届けしたいと思っています。
「花畑を出す魔法~あるエルフの記憶~」
この作品に込めた魔法が、
見てくださった方の心にも、
勇気と希望を広げてくれますように。




コメント